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第13回K君のレッスン [生徒カルテ]

ここのところ、本当にスムーズなレッスンが続いています。
むしろ、他の生徒さんの方が大変なくらい(笑)

今回はお兄ちゃんのヴァイオリンのレッスンが他の曜日に変更だった為、お母様は付き添う事が出来るのですが、K君の希望でお母様は追い出されてしまいました。
K君は「先生のお家でのんびり遊ぶ」のだそうです(笑)仕方がないのでお母様は近所の大型スーパーへ行かれました。

これは、私の勝手な方針なのですが、彼は幼稚園や色々な所でいろんな物事にぶつかりますから、少なくともピアノに来る事は彼にとって「とっても楽しい事」にしてあげたいのです。元々K君は音楽が好きなお子さんですので、好きな心の芽を大切にしたいと考えています。
他のお子さんでも、好きな心の芽を大切にする事には変わりないのですが、どうしても躾け、レッスンのルール作りが優先されますから正面からぶつかって時には厳しく接する事もあります。
でも、K君の場合には彼にとって「見えないもの」「理解出来ない物」が何なのかを探りながら、優しく説明して彼が理解できるのを待つ必要がありますので彼には決して厳しく接しません。(但し危険を伴いそうな物事は、すこし厳しく説明します)

毎回レッスンの度に面白いのはK君とネコのう〜ちゃんです。
K君はう〜ちゃんがお気に入り、う〜ちゃんはネコですから基本的に子供は苦手なのですが、どういう訳かK君がレッスンに来るとレッスン室にやって来て一緒に遊びたがります。
K君もう〜ちゃんも一緒にレッスンしたいと思っている?ので、一緒にレッスンをしています。(ネコは嫌ならさっさとリビングに避難しますから)
K君がレッスン前に手を洗って「う〜ちゃんも手あらう!」と言うのですが、さすがにう〜ちゃんはネコですから水は嫌い!ピアノの下にうずくまって出て来ません(笑)
「う〜ちゃんは手を洗わないから今日はピアノ出来ないね、K君だけ先にドリルとか音符カードトランプしようか?」とドリルを始めます。
う〜ちゃんはテーブルの上に乗って生徒さんのドリルを監視するのが大好きなので、ドリルを始めるとちょこんとテーブルに座っています。
時にはドリルのページをめくったり、シールの端をかじったり悪戯しながらレッスンに参加してくれるのがK君にはとても嬉しいのです。

ドリルが終わって、音符カードトランプを始めると、またもやう〜ちゃんは床に広げたカードの上にスライディング!「う〜ちゃんダメだよ」とK君はとても楽しそうです。

そして「さぁ、ピアノをしましょう」と言うと「う〜ちゃん手あらってない」と、K君はまだこだわっています。
「こだわる」事は発達障害の一つの特徴なのですが、内心「よく覚えているなぁ〜」と感心してしまいます。でも、う〜ちゃんはK君が洗面所に行って手を洗っている姿を見ると、またもやピアノの下に「篭城」します(笑)
「う〜ちゃん嫌なんだって!」「う〜ちゃんも手あらう!」「でも嫌なんだって!」「嫌!手あらう!」こんなやり取りが続きます。
「う〜ちゃんはまだ小さいから、K君に出来る事でもできないんだよ」「う〜ちゃんも手あらう!」「う〜ちゃんはまだ3才だから年少さんなのよ、K君は年長さんでしょ?K君はお兄ちゃんだからできるけれど、う〜ちゃんはまだ小さいから出来ない事がたくさんあるのよ」
「う〜ちゃんは言う事聞かないから、う〜ちゃんは一人にしておいてみんなでなべなべそこぬけしようか?」
K君の中ではう〜ちゃんはレッスン仲間、お友達だから同列なのです。う〜ちゃんはネコだから僕より小さい事は自然に捉えていますが、ネコだから小さいだけで、何でも一緒に出来ると思っているのです。
う〜ちゃんが自分より年下である事をしぶしぶ承諾して(笑)K君はなべなべそこぬけを弾いてくれました。

レッスンが終わって、出席シールを貼って、ご挨拶をして、Nちゃんとう〜ちゃんとクマのぬいぐるみと隣の部屋で思う存分遊んでK君は大満足で帰って行きました。

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コメント 6

ake_i

K君とう~ちゃんの様子が目に浮かびます。
ドリルをしているときに、う~ちゃんはチェック係ですね^^
そっかぁ、本の端っこをう~ちゃんが齧ったりすると、喜ぶってわかります。
音楽が好き、ピアノに行くのが楽しい!
と思ってくれる子。
本当に、皆がそうであると良いのですね。
なかなか現実は難しいですけど・・・・・

by ake_i (2009-06-24 16:36) 

れいこ

ake_i様

う〜ちゃんとK君の様子はとても微笑ましいです。

音楽が好きな心を大切に育てるって難しいけれど、街のピアノの先生にとっては重大な任務と思って頑張っております。
みんながみんな音楽の道に進む訳じゃないけれど、大人になっても音楽がある心豊かな人生を送って欲しいです。
by れいこ (2009-06-25 22:19) 

ake_i

先日、ピアノの先生が怖くて・・・・・
いうお話を聞きました。

れいこさんのブログを拝見し、こんなに優しいピアノの先生がいる。
レッスン室の様子が目に浮かぶれいこさんの優しいブログ。

ピアノの先生は教わりに来る子、生徒さんを恐怖に慄かせてはならないのですよね。
何人もの方から、ピアノの先生が怖くてピアノをやめた、と聞くこと最近多く、私は何も出来ないと、ショゲてます。

ピアノが怖いのならともかく、先生が怖くて・・・・・って、そんな気持ちになってほしくないですよね。

とりとめもなく、書いてしまいました。
by ake_i (2009-06-29 11:25) 

れいこ

ake_i様

同じピアノ,音楽に携わる人同士でもそれぞれに役割分担があります。
例えば伯父はベテランの音楽教師であり音楽家であるけれども、彼はトップクラスの方々に指導をし、この国の音楽界を先導する役割を果たして来ました。

私のお師匠様はとても厳しい方です、彼女もまた音楽大学の学生や音楽の道を志すと心に決めた一部のお子さん方には必要不可欠な存在です。

ake_i様のように、演奏活動を通じて音楽の素晴らしさを伝える方、この役割は誰にでも出来る事ではありませんし、一番肝心な役割ですよね。

私たち「街のピアノの先生」は音楽が好きかどうかもわかっていない真っ白な状態のお子さんに音楽の楽しさを伝える裾野の重大な役割を担っています。
お子さんもご父兄も真っ白状態ですから、日々笑いの連続です。
ぐるんぐるんに絡まったツェルニー30番、不思議なリズムに変化しているブルグミューラー、生徒さん達はこれでも大真面目!
先日はシューマンの子供の情景「知らない国々」の全ての1拍目にアクセントを付けて来た生徒さんも居りました。
もう、大爆笑ですよ。
私が大爆笑してしまったら、生徒さんは「せんせ〜そんなに笑わないで〜」と訴えて来て
「笑ってゴメンね、私がもっとちゃんと説明してから課題にすれば良かったね」…と、シューマンについてこの作品について説明して、2〜3曲弾いて聴かせて(笑)

私もとりとめもなく書いてしまいましたが、一つの曲を、一つのフレーズを、どうにかして何とか美しく表現したいと思う気持ちには伯父もお師匠様も、そしてake_i様も私も、活動する分野は違っても、音楽を愛する気持ちには変わりはないはず!が私の持論です。
(私の場合は努力が足らなかった為に演奏で表現できないのもありますが(苦笑)
それぞれの役割の中で最大限努力しようと思えるのは「音楽が好き」だからですよね?

「音楽が好き」な気持ちがまだちゃんと育っていない生徒さんには、まず音楽の楽しさを伝える事と一緒に音楽を楽しむ姿勢が教える側に必要と考えています。

実は、特にお若くてまだ一生懸命すぎて焦ってしまわれる先生方に「こんな先生も居ます」と発信したかったのが、このブログを始めたきっかけなんです。
生徒さんと同じ目線に立って一緒に音楽を楽しむって大切な事だと考えています。


by れいこ (2009-06-29 13:22) 

ake_i

れいこさん、ありがとうございます。
きっと私も、一拍目に全部アクセントつけてこられて、
唖然、あーーーぜんぜん。。。。
って大爆笑しちゃいますね。
まるまった楽譜、わかります。
音を楽しむということから考えれば、きちんと楽譜が読めなくてもそれなりに練習してくる生徒さんはきっと自宅でピアノを楽しんでいるはず。

私も、K先生に師事するまでは、
唖然、あーーーーぜーーーーん、の生徒でした。
お陰さまで・・・・なのです。
未だ、手間のかかる生徒です、私。この場を借りて、ゴメンナサイ。
by ake_i (2009-06-30 15:16) 

れいこ

ake_i様

そりゃー確かに、2拍子の曲は1拍目にアクセントが来るとは教えてありましたが(笑)1拍目アクセントの彼女には現在もフレーズのレッスンに大苦戦しております。

実は私は伯父のレッスンを受けた事がないのですよ(笑)
私が弾いていて、庭で鉄道模型で遊んでいる伯父が面白がって寄って来てワンポイントを貰う事はありますが…

ちゃーんとレッスンが受けられるake_i様が羨ましいです。
by れいこ (2009-07-02 13:25) 

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